14 NOV. 2018 up date

アトリエを訪ねてvol.2|U'U' ceramic jewelry and objects〈1〉

アトリエ訪問記U’U’ ceramic jewelry and objects
デザイナー小駒眞弓さん

清澄白河にある、U'U' ceramic jewelry and objectsの
デザイナーである小駒眞弓さんのアトリエを尋ねました。


近年開発が進み、昔ながらの街並みや
古い建物と近代的なデザインのビルが混在する中、

かつてラジエーター工場だったという場所を
リフォームして作られたというアトリエ。

大きな窓から光がたくさん差し込み植物が
伸びやかに育っていました。


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ここは小駒さんと夫で陶磁器作家である飛松弘隆さんの創作の場であり、

息子さんと家族三人の暮らしの場でもあります。


年に2回、アトリエをオープンスタジオとして場所を解放して、

作品とともにお茶やお菓子を
楽しんでいただくイベントも行っているそう。


電気窯や道具、採取した石や試作のオブジェが
気持ちよく並ぶ場所で、制作のお話を伺いました。

『自然と化学とジュエリー』

---綺麗な石がたくさん飾ってありますね。
「石がすごく好きなんです。旅行に行くたびに集めてしまいます。」

---そうなんですね。色や形もさまざまなんですね。
「場所によって全然違うんです。これは信濃川、とか持ってきた場所によって分けて飾ってあります。事前に石の本でリサーチをして、石の採取目的で旅に出ることも 時々あるんです。」

---石の魅力って何ですか?
「自然の持つ質感や色、それぞれの組成や成り立ちにとても興味があります。焼き物は実は石と組成がとても似ていて、自然が作った石の主な成分はケイ素なんですけど、焼き物も同じなんです。石は、火山の熱や自然の力によって作られるもの。規模は違っても材料と成り立ちは近いものなので、制作は自分で鉱物を作り出している気持ちなんです。釉薬も組成が似ていて、色は含まれる金属によって変わります。大学時代に授業で教わった釉薬の化学式がとても興味深く、もともと好きだった石や鉱物とやりたかった陶磁器がつながった気がしました。」

---コンセプトにある「結晶化」という言葉もその感覚から生まれたんですか?
「そうですね。鉱物とジュエリーも同じ成分。手から生まれる鉱物と思って、陶磁器も宝石のようになり得ると思いながら作っています。意識が手の中で結晶化していくようなイメージです。」

---作品を作り始めた時から、作りたいものは明確だったんですか?
「初めは全然違うものを作っていました。ジュエリーを作り始めたのはまだ学生の時で、実は今年で10年になるんです。」

『シンプルに伝えたいことを』

---そうなんですね。学生時代からジュエリーの勉強をされていて?
「いいえ、学生時代は美大の工芸科の陶コースを専攻して、立体造形を主にずっと大きなものを作っていました。それこそ2メートルとか。でも大きな作品を卒業後の環境で作っていくには現実味がなくて。これからどんなものを作っていこうか、ということを考えたときに、身につけられるもの、ジュエリーがいいかなと思って制作を始めました。でも最初の頃はできることを全部やろうと思っていたので、かなりいろいろな種類を作っていました。今のような作品になるまでに随分いろいろなものを試してきたんですよ。」



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---そうなんですね。今はどの作品も色のトーンが統一されていて、
微妙な色の違いがグラデーションのようでとても素敵だなと思いました。


「ありがとうございます。最初はピンクとか黄色とか明るい色も作っていたんです。でも自分の表現したいことをシンプルに伝えたいと考えるようになって、色をホワイト・グレー・ブルーの3色に絞りました。もともとグレイッシュな色が好きなのと、濃淡が一番綺麗に見えるのがグレーなので、手彫りの作品はグレーに統一しています。昔はいろいろな方に見てもらえたらと思って、さまざまな色を使って四苦八苦していたのですが、色味を絞ったら、それを皆さんがすっと受け入れてくれました。シンプルにすることで自分のやりたいことが伝わりやすくなり、逆に表現が広がったように思います。」

part2へ続く|11/15(木)公開>>

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