02 OCT. 2018 up date
アトリエを訪ねてvol.1 SWEETCH 〈1〉
アトリエ訪問記SWEETCH主宰 笠尾美絵さん
広尾の閑静な住宅街。
普通に歩いていたら見逃してしまう秘密の小道みたいな小さな角を曲がったところに、
SWEETCHのアトリエがあります。
レトロなランプと、看板が目印。
ひっそりと控えめな扉を開けると、
バターとお砂糖の甘い香りがふわりと漂ってきました。
使い込まれた道具やアンティークの食器などが綺麗に並ぶアトリエで
お話をうかがいました。
sweets のswitch
----SWEETCHのロゴマークは指でスウィッチを押している様子ですか?
「はい、そうです。独立して、SWEETCHを始めたのが2005年なのですが、そのころは、イメージやコンセプトに合わせてお菓子を作るというスタイルが少なくて、面白いお菓子も珍しかったんです。
スウィーツに対する考え方をもっと自由にするためのスウィッチを入れる、意識を切り替える、みたいなイメージで、SWEETSとSWITCHを組み合わせてできた名前とロゴです。」
----当時珍しかった方法でお菓子を作る、と決めたのはどうしてですか?
「作るところからお客様にお渡しするところ、喜んでくださる姿まで全部に関わることができるのがいいな、と考えてオーダというスタイルにたどり着きました。
それまでホテルやカフェ、ケーキ店などでお菓子作りに関わってきたのですが、作る側と売る側がどうしても分業になるんです。それぞれのことを淡々とやるよりも、直接お客様と話して、気持ちを感じて一緒に作る方が自分には向いているなと思って。
自分の作ったものがどう思われているのかを、直に感じながら作りたかったというのもあります。」
働きながら身につけたお菓子づくり
----笠尾さんは、ウエディングケーキからイベントの焼き菓子まで様々なリクエストに応えて、その都度違うお菓子を作ってらっしゃいますよね。いろいろなレシピや技法、ラッピングのアイデアはどうやって身につけられたのですか?
「現場で学びました(笑)お菓子を作りたい、と思ったのは、栄養士の短大に行っているときに、友人にお菓子をプレゼントしたらとても喜んでくれたからなんです。
だからお菓子を作ることを仕事にしようと決めたのは、短大を卒業するときで。もう一度学校に通うわけにはいかないなあ、現場で学ぶしかないなと思って、パティシエの仕事が全部集約されているホテルに就職しました。
それからレストランやケーキ屋さんでも修行して、フランス菓子をベースにケーキ作りまで一通り学んで、今に至ります。ラッピングも自己流で、毎回試行錯誤を繰り返しながらやっています。」
---そうなんですね。今までに面白い!と思ったオーダーや失敗談はありますか?
「驚いたオーダーは、原寸大のギターを作って欲しいとか、大きな山のケーキを作って欲しいとかっていうリクエストの時は驚きました。
失敗も色々ありますが…いつも完成するのが本当にギリギリなんです(笑)間に合わない!と焦ることがあるのですが、手伝ってくれる友人やアシスタントさんに『大丈夫ですよ』と励まされて、乗り切っています(笑)。」