





アイテム説明
1月のおはなし
スシ・ガール
今いるのは小さな国の大きな街。大きい街だけれど、小さな国だからか、人ごみがなくてのびのびしている。街の中心に小さな川が流れていて、そのほとりにポツリポツリとベンチやカフェがあったり、公園があったり、穏やかな雰囲気。建物は古いものが多くて、新しい建物がほとんど見当たらない。
見かけた唯一の新しそうな建物は大きなスーパーマーケットだった。 毎日のようにこのスーパーに通っていたら、ある日、黒い革ジャンに薄紫のサングラスをかけた大きな男性が声をかけて来た。「スシのコマーシャルに出てくれないか?」だって。いかにも胡散臭い感じ。怪しい。でも、この国に来て驚いたのが、アジア人は見かけないけれど、寿司バーのようなレストランをたくさん見かけたのだ。なので、寿司ビジネスをしている人は案外多いのかもしれない。スーパーの一角のフードコートに移動して、話だけでも聞いてみることにした。
その男性は寿司チェーン店のオーナーで、お店を大々的にリニューアルオープンするらしく、その宣伝のためにずっとアジア人女性を探していたとのこと。さっきも言ったけれど、この街に来て1週間ほど経ったが確かにアジアの顔を見かけていない。だから、革ジャン男性の必死さは伝わって来た。でも本当にコマーシャルなのかな。怖い妄想が始まり、返事は後日することにして、とりあえず名刺をもらった。
宿への帰り道、気になってその寿司チェーン店に調査がてら入ってみることにした。銀と白が基調のスペーシーな広い空間に、変な日本語のピンクのネオン。お寿司の乗ったプラスチックのカプセルが細いテーブルの上で回っている。どんな風にリニューアルされるのかな。と考えながらぼんやりしていたら、いるではないですか、アジアの方が。カウンターの中から「いらっしゃい。いかがいたしましょうか。」と顔を覗かせている。
「日本人ですよね?いやー、久しぶりに日本語話しました。」板前さんは日本人だった。おすすめのサーモンのお寿司、いくらの軍艦巻き、シメサバ、カリフォルニアロール的巻物をいただきながら、さっきの革ジャン男性の話をしてみると、「あー。それ、うちのオーナーですよ。本当にアジアの女性をずっと探しているんですよ。僕も、もしどこかで見かけたら連絡して、って言われていたんです。見つからないと、コマーシャルに僕が出なくちゃいけなくなりそうで嫌だなと思ってたんです。」
ということで、結局、コマーシャルの撮影に参加してきたのだった。 テロテロのチャイナっぽい生地で出来た丈の短いキモノを着て、おかっぱのカツラを被り、太いアイライナーに濃いブルーのアイシャドー、唇の中心にだけ真っ赤な口紅をポンとつけて、恵方巻きのように巻き寿司をかぶりついた後、「イェス!スシ!!」と言うナレーションと共にスマイル。という内容。誰にも見せたくない滑稽な姿だったけれど、いつでも思い出し笑いできる良い思い出が出来た。そしてこれからしばらく日本食が恋しくならないだろうと思うくらいのお寿司をたくさんご馳走になった。
コマーシャルの放映は1ヶ月後ということで、きっともうこの街にはいない。見ることができないけれど、それで本当に良かったと思う。恥ずかしいから、むしろ1ヶ月以内に次の街に行かなければと背中を押された。
一年間の連載を終えて、作品をご覧いただける巡回展を開催いたします。
巡回展終了後、こちらのサイトで販売を開始いたします。
詳細はイベント特設ページをご覧ください。最新情報を随時更新いたします。

9月のお話し「海・ピザ・ドレス」
10月のお話し「さみしい時はチャイニーズ」
11月のお話し「相棒誕生?」
12月のお話し風邪引きのハッピーホリデーズ
渡邉紘子さんのインタビューはこちらからお読みいただけます。
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商品コード | 7902CU006191 |
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