魔法のふとん紀行
《 作品販売 》魔法のふとん紀行 6月 「バット、ベリー スペシャル フォー ミー」

      アイテム説明


      ※ こちらは、画像にある作品のみのお届けとなります。物語は付属しておりません。

      6月のおはなし
       
      バット、ベリー スペシャル フォー ミー


      しばらく移動が続いて疲れてきたので、気に入った場所があったら少し長めに滞在したいと思っていました。ここは古い建物がぎっしり立ち並び、小さな川が流れる緑の多い町。大きな駅と公園と美術館があります。町の人たちも明るくて親切な雰囲気で、とても住みやすそう。私はここにしばらく滞在することにして、アパートを借りました。

      近くに喫茶店がある、古い小さなアパートの3階。エレベーターはなく、ギリギリ一人が通れるくらいの狭い階段で上り下りします。部屋は狭いけれど、窓は大きくて、目の前の並木道の緑が見えます。毎日同じ時間に喫茶店に通っていたら、友達ができました。背の高い、目と髪の毛がクリクリした女の子です。お洋服がいつも可愛いので、どこで買っているのか聞いたのがきっかけで、話すようになりました。彼女も背が高いけれど、この町の人たちはみんな背が高い。「この町は実は人口密度が高くて、ぎゅうぎゅう詰め状態なの。部屋も小さいでしょ。だから息を吸うためにどんどん背が高くなったのよ。」なるほど。おしくらまんじゅうみたいに人がぎゅうぎゅうに集まって、みんなが上を向いて息を吸っている状態を想像しました。確かに満員電車に乗った時、背が高かったらいいな、と思うことがあります。そんな町の情報やそこに住む人たちのことをユーモアたっぷりに教えてくれるので、ますますここが好きになりました。

      ある日曜日、彼女が隣の町に行かない?と誘ってくれました。フリーマーケットがあるそうなのです。結局、彼女の可愛いお洋服は大体フリーマーケットで買っているものでした。お洋服だけではなく、家にあるものは大体そこで出会ったものだそう。アパートの大家さんが自転車を貸してくれて、自転車で行くことになりました。みんな背が高いから、サドルを一番低くしても足がつきません。ほとんど立ち漕ぎしている状態でフラつきながらもなんとかついて行き、大きな原っぱのフリーマーケットに到着しました。

      一部コレクターのセミプロみたいなおじさんのお店や、立派なアンティークを取り扱うおばあさんもいるけれど、大多数は普通のお家から出た不用品を出しているような印象。生活に密着してきたであろう、薄く汚れたガラクタに近いものが沢山あります。でも、ダイヤの原石が眠る宝の山が広がっているようでワクワクしてきました。長袖は着ていないので、心の中で腕まくり。

      最初は友達と一緒に見て、彼女が掘り出しものを発見する様子を観察。でも、ただピン!と来たブースで、パパッと見て即決するという、勘と決断のセンスが彼女にあっただけでした。私は他にもまだあるかもしれないと思って迷って決断できないタイプ。とても広いし、ペースが違うから、自然に自由行動になりました。じゃあ、お昼にあのアイスクリーム屋さんのパラソルの前で、と。私は全体を2周して、そのうち気に入ったブースをいくつか行き来し、おばあさんの手作りらしい粘土でできた像の置物と、刺繍の入った長いワンピースと友達へのプレゼントを買いました。

      待ち合わせの時間になり、お昼を食べながら戦利品を見せ合います。彼女は小さな折りたたみ椅子と、果物のモチーフがついたカーディガン、ふさふさがついたポシェット、そして、紙に包まれた小さなものを「今日のおみやげ。どうぞ。」と渡してくれました。開けてびっくり。私も「私からも。どうぞ。」と紙に包まれた小さなものを、彼女に渡しました。彼女もびっくり。両方のプレゼントが、そっくりだったのです。小さな陶器の小物入れでした。白地に青で模様が入っています。私がもらったのが丸型で、彼女へあげたのはハート型。「何が入るかわからないくらい小さいけれど、そこがかわいいって思ったんだよね。」「取れたボタンとか入れようかな。」「そうだなー、何入れようかな。思いつかないなー。」などと笑いながら話をしました。

      実は陶器はこの地域の特産品だそうです。帰りにお土産やさんに寄ったら、小物入れだけでなく、同じ模様のお皿や、ボウル、ピッチャーなどがたくさん並んでいました。小物入れにはミントタブレットが入って売っていて、一番の人気商品でした。「隣町のことって知らないものね。」彼女がつぶやきました。特別なものを見つけたと思ったけれど、こんなに沢山売っているものを選んでしまって、彼女は少し残念だったのかもしれないと思いました。私もそうだったから。でも、もらった方としては、そんなの関係なくプレゼントは可愛くて、嬉しい気持ちでした。彼女もそう思っていてくれたらいいな、でもきっとそう思ってくれているだろうな。夕方の道をまたよろよろし立ち漕ぎしながら、自転車で帰りました。




      こちらは、連載作品のため価格は実際に販売する価格と異なります。
      仮の価格を表示しております。
      サイズや質感も想像していただきたいため、表記しておりません。
      一年間の連載を終えて、作品をご覧いただける巡回展を開催いたします。
      詳細はイベント特設ページをご覧ください。最新情報を随時更新いたします。






      9月のお話し「海・ピザ・ドレス」
      10月のお話し「さみしい時はチャイニーズ」
      11月のお話し「相棒誕生?」
      12月のお話し風邪引きのハッピーホリデーズ
      1月のお話「スシ・ガール」
      2月のお話「ピンク色の目 春の知らせ」
      3月のお話「マーガレットまんじゅう」
      4月のお話「小さな街の小さなベルベット」
      5月のお話「ライラック・タウン」
      渡邉紘子さんのインタビューはこちらからお読みいただけます。


      ----------
      SELECTION TOPへはこちらから。

      カラーとサイズ

      カラー
      サイズ
      在庫
      購入
      お気に入り
      マルチ99
      F × 完売しました お気に入りに追加
      -
      商品詳細
      商品コード 7902CU014192

      サイズガイド

      CLOSE

      • ジャケット、コート、ブルゾンなど

        ジャケット、コート、ブルゾンなど

      • シャツ、ブラウスなど

        シャツ、ブラウスなど

      • カットソー、ニット、スウェットなど

        カットソー、ニット、スウェットなど

      • スカート

        スカート

      • パンツ

        パンツ

      • ワンピース

        ワンピース

      • ベルト

        ベルト

      • マフラー、ストール

        マフラー、ストール

      • 帽子

        帽子

      • 靴

      • 鞄