02 JUL. 2020 up date

循環を生む日常着 armiのものづくりarmiのものづくり

今目の前にあるものが、どんな材料を使って、誰の手によって作られたものなのか。

自分がそれを消費することによって何が生まれるのか。

「モノの流れ・関わる人を全部把握する」

トレイサビリティという考え方に基づき、ものづくりを始めたブランド「armi」と一緒に、

工場で眠っていた残布を再利用して作ったTシャツの販売をスタートします。

ブランドのものづくりやポリシーについて、バイヤーがデザイナーの河内あゆみさんに伺いました。

オンラインインタビューだったので、一緒にお話ししているシーンを掲載できないのが残念ですが、

工場の写真と一緒にお届けいたします。

Zan;p残り生地から生まれるもの

私がarmiと出会ったのは昨年の夏のこと。

シンプルな無地のTシャツができるまでの背景を一つ一つ自分の言葉で説明される河内さんの姿がとても清々しく、ものづくりに対する考え方にとても共感しました。

特に惹かれたのはZan;pという、半端に残ってしまった生地を使ってTシャツを作るというプロジェクト。量産するには足りず、少量を作る手間やコストを考えたら、そのままにしておいたほうがいいということで、国内の工場に眠ったままの残布。それを集めてTシャツに仕立てていると言います。残っている生地はバラバラなので同じ素材でたくさんはできないけれど、国内で縫製した綺麗な仕立てのよいTシャツができる。無駄なものを蘇らせるとても素敵なプロジェクトです。

それならAMBIDEXにある残布も、Tシャツにしたいとお願いすることにしました。

---今回は、AMBIDEXの商品を生産している工場に残っていた綿の生地を集めて、AMB100貨オリジナルのパターンをお渡しして、河内さんがいつもZan;pの商品を縫製している工場で生産をしていただきました。このようなものづくりをされることは今までもありましたか?

河内「こういうケースは実は初めてでした。いつもは、自分で工場に行ってTシャツにできそうな生地を選んで、出来上がったものをPOP-UPなどのイベントで販売するか、ショップに卸すというスタイルでした。工場にある残布って色も素材もバラバラ。その中からTシャツにできる生地を選んで集めるというのは手間がかかってしまうので、なかなかそこに手を出したいという方はいらっしゃらないんですよね。今回もきっと生地を確認するのが大変でしたよね?」

---生産の担当者が、それぞれの工場に残っている生地を集めて、素材や色の違いを私が確認して、パターンに合いそうな風合いの生地を選んで、どのくらいの枚数が作れるかを計算して・・・と確かに時間はかかりました。同じ白と言っても、微妙に色合いや厚さも異なっていて、同じ商品として問題ないかということも判断が難しかったですし、『これ良さそう!』という生地が3mとかしか残っていなくて、これじゃあ数枚しか作れないな・・・ということもありました。

河内「そうですよね!Zan;p Tシャツを作るのに一番苦労するのがまさにそこなんです。残っている生地の種類も量もバラバラなので仕分けが大変で。単純に手間がかかりますよね。」

好奇心を追いかけて

---armiはZan;p以外のプロジェクトもありますが、ブランドをスタートしたきっかけは?

河内「実は、私、以前はファストファッションの会社でデザイナーをしていたんですよ。」

---へえ!今と真逆ですよね。

河内「そうなんです。その仕事をしていた時に行った中国の工場で見た光景がトレイサビリティについて考えるきっかけになりました。その時初めて工員さんの姿を見たのですが、それが13,4歳の少女で。こんな幼い女の子が作っていることなんて、その時私はちっとも知らなかったんですね。自分の無知さに気がついて、そこから『誰がどうやって作っているのだろう』っていうことに興味を持ち始めて。いろいろ調べていくうちに深みにはまってしまったというか」


armi6.jpg

(arimのTシャツは国内の工場で作られている)

---どんなことを調べられたのですか?

河内「単純に、どこで作られているのかという生産国や工場から始まって、誰が作っているのか、何を使っているのか、その素材はどこでどうやって作られたものなのか・・・とどんどん追いかけていくような感じで。最終的に、自分で畑を借りてコットンの栽培を始めるところまで辿りつきました。」

---栽培まで!

河内「オーガニックコットンの栽培ってすごく大変なんです。想像以上に手をかけないと作れない。それを体感して、素材や作っている人のことを大切にしたものづくりをしようと決めてスタートしました。その時に、同時に出来上がったものの終わりが気になってしまって。」

---ものが作られて、人の手に渡った後ということですか?

河内「はい。使われたものが最後どうなるのかもそうですし、残った素材がどうなっているのか。調べていくと日本でも毎年何トンっていう衣類の廃棄があって、世界で考えるともっとたくさん。それをどうにか出来る方法がないかなというところから、いろいろと動いていく中で工場に残っている残布があることを知りました。まだ使える綺麗な素材なのに、量産するには足りないとか、そのシーズンのトレンドに合わないとか、新しい生地を使ったほうがコストがかからないとかの理由でそのまま何年も放置されていて。なんて勿体無いんだろう!どうにかしたいと考えて始めたのが、Zan;pというプロダクトです。」

短所が長所に

---本当にとことん調べられるんですね。好奇心に突き動かされて?

河内「お恥ずかしいのですが・・・気になるともう動かずにはいられなくなってしまって笑。あと体験しないと納得できない質なんですよね。」

---そのエネルギーが素晴らしいです。残布がどの工場にあるのかも、ご自身で探されていらっしゃるのですよね?

河内「はい。もう、人から人へと紹介していただいて。『あの工場にあるよ』とか『あそこで縫製出来るよ』とか、次々と繋げていただいて、会いに行ってということを繰り返して今ブランドとしてやっていけています。でもZan;pのシリーズは、販売するまでお客様に受け入れてもらえるかとても心配だったんですよ。残りものから作っているし、素材が様々なのでバラバラで販売しにくいのかなと。」

---実際はどうでしたか?

河内「心配をよそに、とても好評だったんです!背景に興味を持ってくださる方、共感してくださる方、バラバラの素材を長所として楽しんでくださる方も多くて。オンラインでも同じ色を何枚か注文してくださって『何が届くか楽しみにしています』と言ってくださったこともありました。」

---それは嬉しいですね!自分の消費が何に繋がるかということを考えている方が増えているような気もします。

河内「そうですよね。サステナビリティーという言葉がここ数年で浸透してきて、受け取る方たちの意識というか考え方が変わってきているなというのは感じています。今年は新型コロナウィルスの件で、予定していたイベントも全部中止になってしまってとても残念ではあるのですが、これをきっかけにまた新しい消費のスタイルができるのかなと、期待もしていて。アパレル業界全体で、いろいろ変わっていきそうですよね。AMB100貨さんと一緒にものづくりができたのも新しい試みでしたし、楽しかったです。」

---ありがとうございます。パッケージがゴミがなるべく出ないように作られているのも素敵ですよね。今回は特別にAMB100貨のロゴを入れていただけて嬉しかったです。縫製もとても綺麗でしたし、おかげさまで、眠っていた生地からベーシックで長く着られるTシャツができました。まだ生地は使い切っていないので、また何かできたら嬉しいです。

河内「armiはライフワークなのでこれからも自分の興味に正直に進化していきたいと思っています。いつでもご相談ください!」

Zan;p×AMB100貨

残布から生まれる新しい価値

BASIC T-SHIRTS

white/chacoalgray

倉庫にあった残布を使って、着心地の良いゆったりシルエットのTシャツを作りました。
透けにくく、一枚でさらりと着用出来ます。
できるだけ同じ風合いの残布を使用していますが、
よく比べてみると少し色合いが違ったり厚さが異なります。
生地の個性として、
また残布から新しい価値を生むという今回のコンセプトとして
楽しんでいただけると幸いです。

  • Zan;p 別注Tシャツ
  • 4,950円(税込)
  • MORE

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