15 11. 2018 up date

アトリエを訪ねてvol.2|U'U' ceramic jewelry and objects〈2〉

『実験の先に見えるもの』

---こちらに並んでいるのは、新しい作品ですか?
「いえ、これはテストなんですよ」

---え~!こんなに綺麗なのにテストなんですか!?
「そうなんです。最近は、個展の時にガラスと陶磁器を融着させて作る『fusionシリーズ』というのを発表していて、そのテストです。ガラスと陶器を融着させるために、本焼きした後にガラスの欠片を乗せてもう一度低温で焼く、という作業を行うんですが、その相性を土から見直そうと思って試しているところです。」

---土との相性があるんですか?
「そうですね。土と釉薬と温度と、配合によって全然違います。これは材料を10%、20%、50%とかかなりシンプルな割合で配合を変えています。」



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---実験みたいですね。
「そうです!まさに化学の実験ですね。粘土自体に色々混ぜて、相性をテストしています。ガラスも粘土も大まかにいうと素性が石に近くて、解ける土が釉薬、解けない成分が多ければ土。その中間層を探す作業です。土自体に解ける成分をどれだけ入れたらどうなるか、というのを実験しています。」

---このテストピースを見ると配合で全然違うのがわかりますね。
「混ぜすぎると形が崩れてしまうので、配合によって姿が変わるんです。彫りが見えなくならないように、模様が見えつつしっとりして一番いい塩梅を探しています。実験していく中で、偶然できるものもあって。これをやり始めると、いろいろな結果を見て見たくなって永遠に続いてしまいます。本当はこの3倍ぐらいの実験をしたいぐらい。でもそうすると作品が作れないので、ほどほどにしていますが(笑)」

『自分の意思と偶然の力』

---実験の積み重ねることによって、理想の形に近づけていくんですね。とても緻密な作業でびっくりしました。でもどのテストもそれぞれに美しさや個性があって、自分だったら、どの配合で本番の作品を作るかというのが決められなさそうです。実験する前に表現したい理想の形や色のイメージができているのですか?
「そうですね。彫りの浮き出る様子や色味をイメージして焼きます。でも予想外の中から生まれるものもあるんです。先ほどお話ししたfusionシリーズも、偶然できました」



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---へえ!
「ガラスを置いて焼いてみたらどうなるかな?と思って。普通、ガラスと陶器って収縮率が違うので、くっついているようでもすぐにポロリと取れてしまうんです。でも私の場合は小さいもの同士をくっつけたので、収縮率が小さく、うまくついたものもあった。それで作品にできることに気が付いたんです。でも作り始めてみると、毎回全部がうまくいくとは限らず、その時の条件によっては焼いたものがほとんど失敗になってしまうこともあります。彫る仕事は100%自分の意思。それに自分の意思で制御できないガラスや釉薬をかけた時の変化、合わせることで生まれてくるものに面白さを感じるんですよね。」


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---研究と実験と制作の繰り返しで生まれていくんですね。小駒さんの作品は、細かい彫りの模様や繋がっていくモチーフもとても印象的です。こちらの図案は彫る前のデザインですか?
「これは、最近彫る模様に変化をつけたいなと思って意識的に書いたものです。イスラムの幾何学模様や、いろいろな民族の文様から着想したりもします。でも平面とは違って、角度や深さで変わるので実際に手を動かして彫ってみないとわからないんです。釉薬がかかった時にどんな色合いにしたいのか、を考えながら作っています。」

----とても細かい作業ですよね。
「そうですね。手術用のメスやカッターを使って一点ずつ彫ります。1日で、リングは頑張って3~4個。それだけ作ると相当ぐったりします(笑)。moldシリーズは石膏型を使っているんですけど、その型も同じように手で彫って調整してを繰り返して出来上がったものです。」

『時間と行為の蓄積』

--moldシリーズを作るときに意識していることはありますか? 「工業的なイメージの石膏型を使う仕事でも、量産というよりは同じかたちのものをたくさん作っていつか大きな1つのものになったら、と思いながら作っています。型を使う場合ルールにしているのは、並べた時につながるデザインにすること。制作中タイルのように並べて楽しんで、買っていただいたものも並べたらどのくらいの広さになるのかな、と想像したりしています。 鉱物が少しずつ結晶化していくように、行為が蓄積されて何かが生まれるようなイメージですね。」

---時間が重なっていくような感覚もありますね。これから作っていきたいものはありますか?
「年に数回個展をやらせていただいてますが、最近はジュエリーだけではなく少し大きめな作品も制作しています。ジュエリーに変換する前のイメージをそのまま大きめなタイルに彫りおこしています。 数年前から子育てがはじまり以前より制作にかけられる時間が大幅に減りました。その少ない制作時間で1番やりたい事は何かを考えた時に生まれたのが、このタイル作品。私の制作の核となるような作業です。あとは去年北海道で展示をしたんですが、東京以外の場所での個展がとても新鮮で。いつもと違う土地に行って、違う空気を感じながら作品を発表していけたらいいですね。」



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---来年も個展を控えているという小駒さん。
実験の先に、生まれてくるジュエリーは陶やガラスの持つ透明感や硬さと
小駒さんの作る優しいフォルムが合わさって凛とした女性らしさを放つジュエリーになります。

 AMB100貨では、小駒さんの作るプロダクトシリーズの受注販売会を開催いたします。
それぞれのプロダクトの制作過程を見させていただいたので、 販売予定の作品とともに明日からご紹介いたします。



part3へ続く|11/16(金)公開>>