魔法のふとん紀行
《連載》魔法のふとん紀行

      アイテム説明

      9月のおはなし
      海・ピザ・ドレス


      電車とバスを何度も乗り継いで、海の見える町にやって来た。
      海が見えると言っても山も近く、ぐるりと町を巡る坂道沿いには小さなクリーム色の建物が並んでいる。
      夏休みが終わったからか、人はまばらでとても静かだ。
      ずっと前に図書館に置いてあった旅雑誌で見かけてから、ここを散歩してみたいと思っていた。
      夢って叶うもんだなとちょっぴり感慨にふけりながら、ぷらぷらと歩き回る。
      しばらく歩いたらお腹が空いたので、宿のおばさんに聞いていたおすすめのレストランに入ってみることにした。


      店内に人気がないと思ったら、みんなテラスに座って、夕焼けが始まる前の澄んだ水色の海を眺めていた。
      海の底が見えそうなくらい透明なのに、緑みがかった薄い青色がはっきりと浮かんで見えている。
      海の色ってどうやってできているのだろうと不思議に思う。
      私は途中から隣の席の女性が着ているワンピースが、海の色とそっくりで見とれていた。


      トントン、つい彼女の肩を叩いてしまった。 「あなたのドレス、きれいね。」と伝える。
      そうしたら、「ありがとう。この海で染めたのよ。」って返事。

      なーるほど。おしゃれな人はおしゃれなこと言うわね。
      あまりにもキマっている回答に心の中でクスクス笑っていたら、
      「あなた!せっかくここに来たのに、何も食べていないの?」とおしゃれな彼女。
      ぼんやりしていて、お腹が空いていたのも、注文するのも忘れていた。
      よく見たら、彼女の目の前にはテーブルからはみ出しそうなくらいお料理があふれている。


      サラダ、魚、スープ、肉、パスタ、ピザ。。。
      このために週に一度はやって来ると言う彼女に従いピザを頼んでみたけれど、ピザの味よりも、
      おしゃれな彼女が食いしんぼうだったことの方がずっと魅力的だった。
      ピザを食べながら、もう一度クスクス笑ったのでした。





      こちらは、連載作品のため価格は実際に販売する価格と異なります。
      仮の価格を表示しております。
      サイズや質感も想像していただきたいため、表記しておりません。
      一年間の連載終了後に、実物をご覧いただける場をもうける予定です。
      それまで、しばらくお待ちください。


      渡邉紘子さんのインタビューはこちらからお読みいただけます。

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